🤔 ちょっと待って! 乃至政彦氏の説は、議論真っ最中

📚 実は本郷先生から「待った」が入ってます
さて、ここまで乃至政彦氏の『戦う大名行列』について熱く語ってきましたが、実は学界では結構な議論が起きているんです。
特に、東京大学史料編纂所の本郷和人教授から「ちょっと待った」の声が上がっています。
本郷先生、テレビでもおなじみの歴史家ですが、この方は史料に対してかなり厳格なんですよ。
教師時代、私も「史料批判は歴史学の基本」と生徒に教えていましたが、本郷先生はその道のプロ中のプロです。
🔍 本郷先生の疑問 4点とは?
本郷教授が乃至氏の説に対して提起した疑問は、主に以下の点です:
① 史料の問題
「車懸りの具体的な隊列や運用を裏づける同時代の一次史料が乏しい。江戸時代の軍学書から逆算しているだけでは?」
これ、確かに気になるポイントですよね。戦国時代の軍事技術を江戸時代の資料から推測するって、ちょっと時代が離れすぎてる感じもします。
② 継承関係の証明
「村上義清から上杉謙信への戦法継承を示す直接史料が見当たらず、因果関係が飛躍している」
これも研究者としては当然の指摘。「AがBに影響した」と主張するなら、その証拠となる史料が欲しいところです。
③ 制度史の空白
「兵科別編成がそのまま近世の参勤交代行列へ連続すると断定するには、制度史上の空白が大きすぎる」
戦国時代から江戸時代まで、約100年の時代差。この間の変化や継承過程をもっと詳しく調べる必要があるということですね。
④ 解釈の問題
「行列図に描かれた縦列を戦時編成と見るのは『後世の想像を実体化している』のでは?」
これは結構痛いところを突いてます。現代人の視点で過去を解釈していないか、という根本的な問題提起ですね。
🥊 歴史学界のボクシングマッチ?
でも、これって決して「乃至氏が間違い、本郷氏が正しい」という話じゃないんです。
歴史学の世界では、こういう議論こそが学問を発展させるんですよね。
教師時代、よく生徒に言ってました。
「歴史は生きている。新しい発見や解釈で、常に書き換えられていくもの」って。
まさにそれを実感する瞬間です。
📊 現在の学説状況はどっちが優位?

正直なところ、まだ決着はついていません。
乃至説の強み | 本郷説の強み |
---|---|
新しい視点による史料解釈 | 史料批判の厳密性 |
実証的なアプローチ | 学術的慎重さ |
現地調査の重視 | 制度史的な視点 |
読みやすい一般向け著書 | 長年の研究実績 |
現時点では:
- 乃至氏の説:一般読者や歴史ファンには大きな支持
- 本郷氏の批判:学術的な検証としては妥当な指摘
- 学界全体:更なる史料発見と検証を待っている状況
🎭 これぞ歴史学の醍醐味!
個人的には、この論争自体がとても興味深いと思います。
なぜなら:
① 新しい視点の価値
乃至氏の研究は、従来見過ごされていた史料に光を当てた功績があります。「大名行列は軍事的背景がある」という発想自体は画期的で、私こういう話大好きです。
②学術的厳密性の重要性
一方で、本郷氏の指摘も研究者として当然の姿勢。史料に基づかない推測は危険ですからね。
実はわたし、本郷先生のファンです。おそらく、先生の著書のほとんどを読んでいます。
だから、先生の指摘もよくわかります。わかっていて、乃至氏の説を面白がっています。
③ 議論の継続
何より、こうした議論が続いていることが健全。一つの説で終わりではなく、常に検証し続けるのが学問の姿ですから。

📖 読者の皆さんへのお願い

この本を読む際は、以下の点を念頭に置いてください:
- 一つの仮説として楽しむ:確定した歴史的事実ではなく、興味深い研究仮説として
- 批判的思考を忘れない:「本当にそうかな?」という疑問を持ちながら
- 続報に期待:新しい史料発見や研究成果を待ちましょう
🌟 それでも読む価値は十分!
本郷先生の批判があるからといって、この本の価値が下がるわけではありません。
むしろ:
- 歴史への新しいアプローチを学べる
- 史料分析の面白さを実感できる
- 学問的議論の実例を見ることができる
- 何より、歴史への興味が深まる
歴史って、正解が一つじゃないから面白いんです。
色々な解釈があって、それぞれに根拠があって、だからこそ議論が生まれる。
この本は、そんな歴史学の奥深さを教えてくれる一冊だと思います。
現在も研究が続いており、新たな史料発見や研究成果により、解釈が変わる可能性があります。
最新の研究動向にもご注意くださいね。
📋 このブログの内容まとめ
・📖 著者紹介 – 乃至政彦氏は戦国軍事史の専門家で、従来の通説をひっくり返す「歴史界の名探偵」
・🎪 核心の主張 – 江戸時代の大名行列は村上義清が創始した「車懸り」戦術に起源を持つ軍事隊形
・⚔️ 義清の復讐劇 – 真田の謀略で精鋭を失った義清が「頭数」による集団戦術で武田軍を大破
・🏛️ 謙信の軍事革命 – 川中島で五兵科連携の「兵科別編成」を完成させ、後の大名行列の原型を作成
・📜 史料分析の価値 – 軍記物ではなく同時代史料と現地調査による実証的アプローチの重要性
・✅ 本書の魅力4点 – 史料分析の徹底、発想の転換、具体的復元、学際的アプローチ
・😅 課題2点 – 謙信の影響力根拠がやや薄弱、史料の時代的制約による限界
・🎭 読書体験 – 歴史の常識が覆される知的興奮と、義清の人間ドラマに感動
・🎯 おすすめ読者 – 戦国軍事史愛好家、大河ドラマファン、旅行好き、教育関係者など
・🤔 学術論争 – 本郷和人教授からの4つの疑問点と、現在進行中の研究議論
・🌟 最終メッセージ – 歴史は生きており、正解が一つじゃないからこそ面白い学問分野