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📚 白井俊『世界の教育はどこへ向かうか』書評 – 教育の未来が見える

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目次

💡 個人的な読書体験 – この本との出会い

最初の印象は?

正直に言うと、最初にこの本を手に取ったときは、「また小難しい教育論かな」と思いました。

でも、読み始めてすぐに、その印象は変わりました。

著者の文体が、思いのほか親しみやすかったんです。

専門用語は使うけれど、それを一般の人にも分かるように説明してくれる。

そんな配慮が感じられました。

「あるある」の連続

読み進めるうちに、「あるある」の連続でした。

特に、教育現場で使われている用語の多義性について書かれた部分は、「そうそう!」と何度も膝を叩きました。

「主体性」という言葉一つとっても、先生によって、学校によって、地域によって、全然違う意味で使われている。

そんな現状を、著者は冷静に分析していました。

新しい発見の連続

でも、一番の収穫は、新しい視点をもらえたことでした。

特に、教師不足の国際的側面については、全く考えたことがありませんでした。

また、子どもの自己認識と客観的評価のズレについても、「なるほど」と思わされました。

これって、大人の世界でも同じことが起きているんじゃないでしょうか。

印象に残った一節

特に印象に残ったのは、「はじめに」の部分です:

多義的であるということは、人によって、想定している内容が異なる場合があるということだ。例えば、教師が子どもたちの能力や主体性を伸ばすために努力しても、それは社会が期待している能力や主体性とは同じではないかもしれない。

この一節を読んだとき、「これって教育だけの問題じゃないな」と思いました。

職場でも、家庭でも、同じことが起きているかもしれません。

同じ言葉を使っていても、実は違うことを考えている。

そんなすれ違いが、いろんな場面で発生しているのかもしれません。

「みんな日本語使ってるのに、意味がバラバラって…これじゃあ、伝言ゲームですよね〜」

本当にその通りなんです。

でも、この本を読んでいて感じるのは、教育の世界って本当に複雑だということです。

そして、その複雑さについて、他の教育書とこの本は一線を画しているんです。

📊 他の教育書との比較 – この本の立ち位置

従来の教育書との違い

一般的な教育書は、大きく二つのタイプに分かれます。

タイプ1:実践型

「こうすれば子どもが伸びる」「この方法で成績アップ」といった、具体的な方法論を提示するタイプ。

タイプ2:理論型

教育理論や教育哲学を詳しく解説するタイプ。

でも、この本はどちらとも違います。

この本は、現状分析型とでも言うべき立ち位置にあります。

「今、教育の世界で何が起きているのか」を冷静に分析し、その背景にある構造を明らかにしようとしています。

国際比較の視点

他の教育書との最大の違いは、国際比較の視点です。

多くの教育書は、日本の教育について語ります。

でも、この本は世界の教育について語っています。

エストニア、フィンランド、シンガポール…これらの国々の教育改革を詳しく紹介することで、日本の教育の特徴と課題を浮き彫りにしているのです。

政策と現場の橋渡し

もう一つの特徴は、政策と現場の橋渡しをしていることです。

著者は文部科学省やOECDという「政策側」の人間でありながら、実際に学校現場を訪問し、現場の声を聞こうとしています。

政策を作る人と現場で実践する人の間には、しばしば大きな溝があります。

でも、この本では、その溝を埋めようとする著者の努力が感じられます。

「政策作る人と現場の人、だんだん言葉が通じなくなってきましたね〜」

なんて皮肉も言いたくなりますが、この本はその溝を埋めようとしている貴重な一冊なんです。

こうなってくると、この本が単なる教育論ではなく、組織論政策論としても読めることが分かってきますよね。

でも、そんな真面目な話ばかりでは疲れてしまいます。この本には、実は「ユーモア」も隠されているんです。

🎭 ユーモアと深刻さのバランス – 読みやすさの秘密

軽妙な文体の魅力

この本の魅力の一つは、軽妙な文体です。

扱っているテーマは深刻ですが、文体は軽やか。

まるで、友人と教育について語り合っているような感覚で読めます。

特に、著者が学校現場を訪問したときのエピソードは、微笑ましいものが多いです。

深刻な現実も忘れずに

でも、その軽妙な文体の裏には、深刻な現実があります。

教師不足、カリキュラムの過密化、子どもたちの学習意欲の低下…これらの問題は、どれも深刻です。

でも、著者はこれらの問題を、決して悲観的にだけ捉えていません。

むしろ、「これらの問題を解決するための第一歩は、現状を正確に把握すること」という姿勢で臨んでいます。

絶妙なバランス感覚

この本の著者は、絶妙なバランス感覚を持っています。

楽観的すぎず、悲観的すぎず

批判的でありながら、建設的

国際的でありながら、日本の実情にも配慮している。

このバランス感覚が、この本を読みやすくしているんだと思います。

読んでいて、「あー、この人は信頼できる」と感じます。

決して極端な主張はしないけれど、重要なポイントはしっかりと指摘している。

「バランス感覚って大事ですよね〜。でも、だんだんそういう人、少なくなってきましたね〜」

でも、ここで一つ疑問が湧いてきます。

この本が指摘する課題に対して、私たち一人一人は何ができるのでしょうか?

🚀 この本から得られる学び – 実践的な気づき

学び1:思考の転換

この本を読んで得られる最大の学びは、思考の転換です。

今まで「当たり前」だと思っていた教育の常識を、疑ってみる。

そんな視点をもらえます。

例えば、「主体性は良いもの」という前提。

でも、この本を読むと、「主体性って、本当にいつでも良いものなのか?」という疑問が湧いてきます。

学び2:多角的な視点

もう一つの学びは、多角的な視点を持つことの大切さです。

日本の教育だけを見ていては見えない問題が、世界の教育と比較することで見えてくる。

これって、教育だけでなく、あらゆる分野で応用できる考え方ですよね。

学び3:現場感覚の重要性

三つ目の学びは、現場感覚の重要性です。

どんなに立派な理論や政策があっても、現場で実践されなければ意味がない。

そして、現場の声を聞かなければ、本当の課題は見えてこない。

この本の著者は、文部科学省やOECDという「上」の立場にいた人ですが、現場の声を聞こうとする姿勢を失っていません。

これって、どんな職業の人にも参考になる姿勢だと思います。

学び4:言葉の定義の大切さ

最後の学びは、言葉の定義の大切さです。

同じ言葉を使っていても、人によって想定している内容が異なる。

この問題は、教育現場だけでなく、あらゆる場面で起きています。

職場でも、家庭でも、友人関係でも、同じことが起きているかもしれません。

だからこそ、「この言葉、みんな同じ意味で使っているかな?」と確認することが大切なんです。

実際、私も仕事で「効率」という言葉を使うとき、同僚と微妙に違う意味で使っていることがあります。

そんなとき、この本の指摘を思い出します。

「みんな同じ日本語使ってるつもりなのに、実は違う意味で使ってるって…あ〜あ、これじゃあ話が噛み合わないわけですよね〜」

でも、この本にも「惜しい点」がないわけではありません。正直にお話ししましょう。

🎯 この本の惜しい点 – 正直な感想

惜しい点1:もう少し具体的な解決策が欲しかった

この本の唯一の「惜しい点」は、具体的な解決策がもう少し欲しかったことです。

現状分析は素晴らしいのですが、「では、どうすればいいのか?」という部分が、やや物足りない感じがします。

もちろん、簡単に解決策を提示できる問題ではないことは理解しています。

でも、読者としては、「次の一歩」のヒントが欲しかったのも事実です。

惜しい点2:日本の事例をもう少し

もう一つの「惜しい点」は、日本の具体的な事例をもう少し紹介してほしかったことです。

海外の事例は豊富に紹介されていますが、日本の学校現場の具体的な取り組みについては、やや薄い感じがします。

海外の事例と日本の事例を比較することで、より深い洞察が得られたのではないでしょうか。

惜しい点3:所々の「雑さ」

一部の読者が指摘している「所々雑な感じ」も、確かに感じる部分があります。

特に、複数のテーマを扱っているため、それぞれのテーマの掘り下げが、やや浅くなっている部分があります。

でも、これは新書という限られた紙幅の中で、多くのテーマを扱おうとした結果なので、仕方ない面もあります。

それに、この「雑さ」が、逆に読みやすさにつながっている部分もあるので、一概に悪いとは言えません。

「完璧な本なんてないんですよね〜。でも、だからこそ読者が考える余地があるってもんです」

でも、これらの「惜しい点」を考慮しても、この本を読むべき人たちがたくさんいるはず。

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