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元教師が驚いた『外圧の日本史』書評(後半)|鎖国から敗戦まで対談で読み解く

こんにちは、なおじです。

本郷和人さんと簑原俊洋さんの対談『「外圧」の日本史』を読んで驚きました。

家康が日本を弱くしたって、まさかそんな見方があるなんて!

この記事は前記事『外圧の日本史』の続編で、江戸時代の鎖国から太平洋戦争の敗戦までを扱ってます。

前記事が古代から江戸初期まで、今回は近世から現代までの後半部分。

外圧が日本をどう動かしたかがよく分かる一冊です。

35年間社会科を教えてきたなおじが、この本の面白さをお伝えします。

外圧」の日本史

【この記事でわかること】

  • 『外圧の日本史2』は前作の続編で後半部分(前半・後半の2冊構成)
  • 家康が日本を弱くしたという驚きの指摘
  • ペリーは実は日本に行きたくなかった事実
  • 幕府が外圧を利用して開国した可能性
  • 日本軍が補給を軽視して敗北した理由
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目次

『外圧の日本史』前記事の続編|

実はこの記事、前作『「外圧」の日本史』の続編記事なんですよ。

前記事は古代の白村江の戦いから江戸初期まで扱ってました。

今回の後編は、江戸時代の鎖国完成から太平洋戦争の敗戦まで

本の分量がかなり多かったので、前半・後半の2記事に分けました。

もちろん、前記事を読んでなくても本記事は楽しめますよ。

でも、両方読むと古代から現代まで一気につながる。

この本、「外からの圧力が日本をどう変えたか」っていう一貫した視点が本当に新鮮。

著者の本郷和人さんは東京大学史料編纂所の教授で、日本中世史の専門家。

テレビでもよく見かけますよね。

もう一人の簑原俊洋さんは、サンフランシスコ州立大学の教授。

日米関係史が専門で、アメリカ側の視点から日本史を分析してくれるんですよ。

日本史の専門家とアメリカの専門家が対談するから、日本国内だけじゃ見えない視点が浮かび上がるんですよね。

本書は全14章の構成になってます。

この後半記事では、6章から14章を扱います。

キリスト教弾圧と鎖国の完成、ペリー来航、ハリスとの通商条約、日清・日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、そして太平洋戦争。

各章の冒頭に「時代を読む」っていうコラムがあって、歴史の流れを整理してくれます。

読みやすいように工夫されてるんですよね。

👉関連記事:外圧の日本史書評:対談で読み解く白村江から占領期まで(※前半部分のレビューはこちら)

家康が日本を弱くした?まさかそんな見方があるなんて驚いた

近年の歴史研究で「鎖国はなかった」っていう説が出てきてるの、知ってました?

オランダや中国とは貿易してたし、朝鮮通信使も来てた。

だから完全に閉ざされてたわけじゃないって議論です。

でもこの本で簑原さんが面白いこと言ってるんですよ。

「海外では日本は鎖国してると認識されてた。鎖国がなければ、ペリーをわざわざ送る必要はなかった」って。

確かにその通りですよね。

アメリカは何度も使節を送って断られ続けて、最後にペリーを送り込んだわけです。

本郷さんも「アジアとの交流はあったけど、当時のグローバリゼーションの中心は西洋だった」って指摘してます。

西洋列強との交流がなかった日本は、世界の潮流から取り残されてたんじゃないでしょうか。

なおじも35年間教壇に立ちましたが、こういう「グローバルな視点」で日本史を教えることの大切さ、今さらながら痛感しました。

秀吉も家康もキリスト教と貿易の板挟みだったみたい

豊臣秀吉も徳川家康も、最初はキリスト教に寛容でした。

でも、秀吉が九州を平定したら、長崎がイエズス会に寄付されてることが分かった。

しかもポルトガル船が日本人を奴隷として売買してたんですって。

そりゃあ怒りますよね。

でも秀吉も家康も、貿易の利益は手放したくなかった

だから禁教政策は中途半端になって、信者数は一時70万人まで増えちゃったそうです。

島原の乱っていう大事件を経て、ようやく幕府は本気でキリシタン狩りに乗り出しました。

でも、オランダと中国との貿易は続けたんですよ。

このあたりの「いいとこ取り」が、いかにも日本的だなって思いませんか。

👉関連記事:豊臣兄弟1~5話に涙!兄弟の絆と桶狭間の奇跡

まさか家康が日本を弱くしたなんて

簑原さんの指摘で一番驚いたのが「家康が日本を弱くした」っていう言葉です。

織田信長や豊臣秀吉は世界を視野に入れてた。

でも家康は、江戸幕府の存続だけを考えて国内しか見てなかったっていうんです。

幕藩体制って、近代国家じゃなくて妥協の産物でしかないんですって。

確かに、家康の守備的な姿勢が、世界における日本の地位を下げたのかも‥。

その結果、江戸時代に軍事面でどんどん後れをとって、ペリーが来た時には大きな差が開いてたって。

うーん、考えさせられますねえ。

なおじは茨城県の学校で長く教えてきましたが、家康を「天下泰平の世を築いた名君」として教えることが多かった。

でもこの本を読むと、「平和と引き換えに失ったものは何だったのか」を考えずにはいられません。

ペリーは本当は日本に来たくなかった!黒船の裏側に驚いた

「黒船来航」って聞くと、アメリカが力ずくで日本を開国させたイメージがありますよね。

でもこの本を読んだら、そのイメージがガラッと変わりました。

簑原さんによれば、ペリーは実は日本に行きたくなかったそうです。

彼が熱望してたのは地中海戦隊の司令官で、日本行きは「後輩の尻ぬぐい」に等しい降格人事だったって。

それでも命令された以上、ペリーは徹底的に準備したんですって。

シーボルトの蔵書を買い込んで日本を研究し尽くしたペリー

ペリーはシーボルトの蔵書を大量に買い込んだそうです。

捕鯨船の船長たちに話を聞いて、日本の情報を集めまくったそう。

そして「日本は上下関係を重視する国だ」って理解すると、自分を王のように見せる演出をしたんですよ。

立派なカツラをかぶって、すぐに姿を見せず、水兵たちに「俺を王だと思って接しろ」って命じた。

周りのアメリカ人は「ペリーは頭がおかしくなった」って思ったそうです(笑)。

でもこれ、全部日本文化を理解した上での戦略だったんですね。

なおじも教師として、この「相手を理解してから交渉する」っていう姿勢は見習いたいって思いました。

しかも面白いのが、ペリーは「カリフォルニア沖に100隻の軍艦が待機してる」って大ボラを吹いたこと。

実際にはわずか4隻しかないのにね。

でも当時は通信手段がないから、アメリカ政府も何をしてるか知りようがなかった。

現場の裁量権を最大限に使ったわけですよね。

幕府はペリーを利用して開国した?その可能性に納得

もっと驚いたのが、簑原さんの「幕府はペリーの外圧を利用して開国した」っていう仮説です。

オランダからの情報で、アメリカが来ることは分かってた。

なのに幕府は何も対策を取らなかった。

4隻の黒船だけで日本を征服できるはずがありません。

それでも幕府が開国を受け入れたのは、これを好機と捉えてたからじゃないかって。

「開国するならこのタイミングしかない」っていうリアリズムが、幕府上層部にあったのかもしれません。

本郷さんも「ペリーが来ると知ってたのは、日本が開かれてたからじゃなく、開くためにあえて対策を練らなかった」って応じてます。

極めて日本的なやり方だって。

なるほど、そう考えると辻褄が合いますね。

👉関連記事:「六国史」書評 – 古代日本の歴史書が描く宮廷ドラマ

日露戦争から太平洋戦争へ|なぜ戦争を止められなかったのか

明治日本は日清・日露戦争に勝利して、列強の仲間入りを果たしました。

でも第一次世界大戦後、日本は次第におかしな方向に進んでいく。

この本が問いかけるのは「なぜ日本は戦争を止められなかったのか」っていう重い問いです。

日露戦争は自衛戦争だったって言うけど…

簑原さんは日露戦争を「自衛戦争」って位置づけます。

ロシアは日本を完全にナメてて、朝鮮半島の支配と不凍港を求めてた。

伊藤博文は戦争回避を望んでましたが、ロシアがケンカを売ってきた以上、やるしかなかったって。

乃木希典について、司馬遼太郎は「多くの戦死者を出した」って批判しました。

でも簑原さんは「エアパワーがない時代、敵が高台を支配してる以上、正面突破しかなかった」って擁護してます。

乃木が立派なのは、自分の息子を二人とも亡くしながら「よく戦死してくれた。国民に面目が立った」って言ったこと。

なおじも息子が二人います。おそらく、息子達の安全を第一に考えてしまう気がします。

到底乃木将軍にはなれません。

でも、乃木将軍の武人としての覚悟には、考えさせられるものがあります。

補給を軽視した日本軍…これが敗因だったんですね

太平洋戦争で日本軍が犯した最大の過ちは、補給を軽視したことだったようです。

簑原さんは「兵站が何より大切なのに、日本軍は勇猛果敢に進軍することばかり考えてた」って厳しく批判してます。

ドイツ軍はダンケルクで停止して、英仏軍を取り逃がしたって批判されますよね。

でも燃料も弾薬も底を尽きてたんだから、停止はやむを得なかったって。

日本軍なら絶対に止まらなかっただろうって、簑原さんは指摘してます。

実際、マレー侵攻作戦では自転車部隊が勢いよく前進しましたが、補給が追いつかなかった。

兵士の多くは敵の銃弾じゃなく、マラリアや餓死で命を落としたんですって。

現地で力ずくで物資を調達したから、先住民の反感を買ってゲリラ戦に巻き込まれる。

完全な負のスパイラルですね。

山本五十六近衛文麿に「半年や1年は暴れてみせるが、2年3年となれば確信はない」って言いました。

確信のない戦争を始めたことが、日本の最大の過ちだったのかもしれません。

よくある質問(Q&A)

Q1: 歴史が苦手でも読めますか?

大丈夫ですよ。

対談形式だから、難しい話もスルスル頭に入ってきます。

二人の掛け合いが面白くて、読み物としても楽しめますよ。

各章の冒頭に「時代を読む」っていうコラムがあるので、そこで概要をつかんでから本文を読むと、さらに理解が深まります。

Q2: 前記事を読んでないとダメですか?

いえ、この記事だけでも十分楽しめたでしょう。

ただ、前記事を読んでおくと古代から近世までの流れが分かって、より立体的に理解できますよ。

時間があれば、ぜひ両方読んでみてください。

通してなおじの記事を読んでいただけると、それだけで日本史の大きな流れがつかめるはず。

👉関連記事:外圧の日本史書評:対談で読み解く白村江から占領期まで

でも、詳しく知りたい方は、やっぱり本を購入してお読みになることをお勧めします。

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Q3: この本の一番の魅力は何ですか?

日本史と世界史を結びつける視点だと思います。

日本の歴史を、日本国内だけで完結させない。

常にアメリカやヨーロッパの動きと絡めて説明してくれるんです。

簑原さんの国際政治学の視点が、本郷さんの日本史研究と組み合わさって、立体的な歴史像が浮かび上がるんですよね。

なおじも35年間社会科を教えてきましたが、「グローバルな視点で日本史を見る」ことの大切さを、改めて実感しました。

生徒にもこういう視点を伝えたかったなあって思います。

👉関連記事:【書評】『日本史こぼれ話』の魅力を徹底解説

【筆者プロフィール】

なおじ|元社会科教師35年、校長11年。茨城県の公立小中学校で日本史を教え、バスケ部顧問も経験。

現在は8つのブログでドラマ芸能政c治歴史スポーツ学び書評を書いてます。

対話を通じて歴史の面白さを伝えることがライフワークです。

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